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吉野家店舗のCORO食器洗浄工程導入について(従来技術の問題点)

代表の尹です。

●問題点
ロボットには垂直多関節、スカラ、パラレルの3種類があるので、ひとつずつ考えてみます。

1.垂直多関節
垂直多関節には必ず肘回転関節があります。
垂直多関節ロボットは、肩と手先を直線で結んだラインから、必ず肘が外に出ているため
人との衝突を防止するためには、予想以上に広い可動範囲を確保する必要があります。

自動車業界を中心に、垂直多関節が導入され始めた当時、安全柵はありませんでした。
その結果、垂直多関節ロボットの肘が作業員に衝突し、多数の死亡事故や障害事故が発生しました。
人は、1ヶ所に注意を向け続けることは容易ですが、2ヶ所以上に注意を向け続けることは難しいです。
垂直多関節ロボットが動いているとき、手先を意識して観察するため、肘の動きを意識する事が難しくなります。
当たり前の話ですが、ロボットが動いているときは手先を注視し続けるするため、肘のことが意識外となります。
さらに、手先の動きから肘の動きを予測することも難しいため、予想外のところから肘が飛んできて衝突してしまうのです。
肘は鋭角のため、衝突時の単位面積当たりの力が非常に大きくなり、死亡事故や大怪我に繋がりやすくなります。
この歴史から、国際安全規格のISO 10218が制定されました。
ISO 10218では、ロボットは安全柵で囲み、人が安全柵内に入るときはロボットが必ず停止する安全機能を設置することで、
人とロボットは完全隔離する、という内容で人の安全を確保しました。

垂直多関節ロボットを導入する場合は、広い空間と安全柵が必要であり、ロボットのことを理解している専門家も必要であるため
自動車や電子・デバイス業界など、広い空間とロボット専門化が確保できる一部の業界でのみ導入が進んできました。

このような背景から、店舗のような狭い空間には、安全柵を含めた垂直多関節を入れるスペースがありません。
ロボットの専門家を雇用することも困難です。

例えば、店舗のデッドスペースとして壁際の空間があったとしても、
ある動作では肩の位置より肘が後ろにくるので、肘が壁に衝突します。
さらに、ある位置に手先を移動させるとき、肘がどのように動くのか予測できないため
狭い環境では肘が周りに衝突することが多々あります。
特異点は、可動範囲として使えないだけでなく、
特異点近傍では、急激に動作が高速になるため、暴走しているようになるのですが
そもそもどこが特異点なのか理解が難しい点も大きな問題です。
(特異点・シンギュラリティの説明は次の機会で)

垂直多関節の動きは、複雑のため、一般の方には理解が難しいです。
例えば、何とか店舗に設置したとしても、一緒に働いている人が、
ここには来ないだろうと思って、ロボットに近づいたとき、予想に反して肘が飛んできて、
怪我をするということが、多数発生してしまいます。
特に、肘は鋭角であるため、低速で衝突しても、単位面積当たりの力が大きくなるため、大事故に繋がります。

固定方法も、アンカーボルトでコンクリート床に固定して使用します。
これは、重心位置が肘付近にあるため、しっかりと固定しないと、ロボットが架台ごとグラグラするからです。

2.スカラ
スカラにも垂直多関節と同じく肘があるため、上記と同様のスペース、鋭角の衝突、重心位置の問題が生じます。

3.パラレル
パラレルは、動作時に非常に大きな反動が生じるため、導入するためには、架台をアンカーボルトに固定するだけ無く
架台もかなり頑丈に作成する必要があります。
また、手先の可動範囲がロボットサイズより小さいため、店舗で必要な可動範囲を確保するためには
かなり大型のロボットとなってしまい、スペース的にも導入ができません。

店舗へのロボット導入ニーズは、以前からあったのですが、そのニーズを満たすロボット技術が存在しないため
導入されずにいました。

次のブログでは、COROに導入された技術について説明します。

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